塩の道「千国(ちくに)街道」の荷継町

塩の道「千国街道」は、新潟の糸魚川から長野県の塩尻まで、日本海と内陸信濃を結ぶ大切な交易の路でした。信濃からは麻やたばこ、生薬、大豆などが運ばれ、日本海側からは、塩や海産物をはじめ、様々な文化や芸能が伝えられました。木崎湖畔の遺跡からは、縄文時代以前の交流を示す黒曜石やヒスイなどが発掘されており、この道の古さを物語っています。この千国街道の荷継宿として古来から栄えてきた信濃大町では、かつては中央本通りに町川が流れ、「かぎの手状」の街道に沿って奥行きのある都風の家並みが軒を連ねていたそうです。戦国時代には、名族仁科氏が街を見通す場所に館を構え、江戸時代になると松本藩が代官所を置き、荷物を受け渡す牛馬や行きかう人々で大変なにぎわいをみせたと伝えられています。

海産物

生活必需品である塩が千国街道を通じてもたらされる信濃大町では、海産物は「おごっつぉ(お御馳走)」でした。海の幸といっても、歩荷(ぼっか)に背負われて運ばれてきた食材ですから、丸ごと茹でて塩蔵した「塩丸イカ」や、干ダラ、貝ひもなど、保存のきく地味な食材がほとんどですが、様々な料理方法で親しまれています。「えご」は、日本海沿岸で採れる恵胡草(えごぐさ)という海藻を乾燥させたものに、水を加えて煮溶かし固めたもので、お正月やお祭りなどのハレの日の食卓には欠かせないものでした。

日本酒三蔵

信濃大町には、美味しいお酒に欠かせない、清冽な水と冷涼な気候があります。しかし、それぞれの個性を磨きながら切磋琢磨する酒蔵三蔵は、自然の恵みだけでは語り切れません。甘口の北安大國、辛口の金蘭黒部、旨口の白馬錦。それぞれの酒蔵がプライドをかけてつくった渾身の日本酒をお楽しみください。

北安醸造「北安大國」

大正12年創業。お米のおいしさをそのまま味わえるほのかな甘さと、爽やかな香りが楽しめる丁寧な酒造りが身上。小さな蔵ですが、小さいからこそ細部にわたって気を配り、大事に日本酒を造っています。地元れんげ米や美山錦を使った高精白の純米酒造りでは、高い技術を持っており、吟醸造りや純米酒を得意としています。

市野屋「金蘭黒部」

慶応元年創業。キレ良くすっきりと丁寧に仕上げたやや辛口の味わいで、熱燗よりぬる燗、あるいは逆によく冷やしても美味しいお酒です。三蔵の中で一番古く、明治初めの建物を現在もそのまま使っており、なまこ壁につけられた温度調整の窓や「煙抜き」など、昔からの酒造りの知恵を今に伝えています。

薄井商店「白馬錦」

明治39年創業。丸みのあるふくよかな米の旨み、酒質の穏やかな旨口の酒造りが身上。「大町の景観を守りたい。」という社長の思いから、酒米はエコファーマーの資格を持つ地元契約農家のものを使用し、日本酒の原点を探求しながら大吟醸から普通酒に至るまで、糖類の添加を一切おこなわない丁寧な酒造りをしています。

スイーツ

信濃大町の町を歩くと、お菓子屋さんが多いことに気づくでしょう。これは塩の道の宿場町だったということもありますが、近代になって大きな紡績工場ができたことも理由の一つと言われています。町でお菓子を買い求めるのは、女工さんの何よりの楽しみだったとか。お殿様に差し上げる高級なお菓子ではなく、庶民の楽しみとして発達した大町のスイーツ。おいしいお菓子はいろいろありますが、お団子、豆板、どら焼き、ドーナッツなどの懐かしいお菓子は今も親しまれています。

ワイン

信濃大町の冷涼な気候では、暖かい地方の品種は植えられないため、白はシャルドネ。赤はメルローが主流です。この地域が畑の下の地層に石がゴロゴロと入った水はけのよい「複合扇状地」というのも好条件で、収穫量は通常の産地と比較すると寒さにより若干減りますが、上質な葡萄が出来ると言われています。のどかな田園風景に囲まれた最高のロケーションで作られたワインをお楽しみください。

大町ワイン

大町市では、冷涼な気候と地質に合ったワイン専用ぶどうの栽培方法を長年にわたり研究してきました。厳しい風雪に耐えて芽を吹き夏の太陽をふんだんに吸収したぶどうで醸造された「大町ワイン」は、やさしい香りと穏やかな酸味、どなたの好みにも合う爽やかな喉ごしが自慢です自慢です。

ノーザン アルプスヴィンヤード

2008年にワインぶどうを生産するヴィンヤードからスタート。2016年に大北初のワイナリーとしてオープンしました。小規模ですが、ワインとシードルの2本立てで、ぶどうの栽培からワインの醸造まですべてを自社で行っています。グラスに注いだ瞬間から果実味豊かな香りがふわりと広がる、フレッシュで力強いワインです。